紀の川市の農業

実習先農家一覧

紀のファーム株式会社

林 真司 さん(31)

イチゴ生産農家

児玉 瑞枝さん(50代)

(株)ふるーつふぁーむわかやま

田中 啓友さん(45)

家族経営

岩鶴 和昭さん(42)

JA紀の里

下田和 敬二さん(58)

個人農家

児玉 勝彦さん(78)

実習先農家インタビュー1
紀のファーム株式会社
林 真司さん(31)

親元就農してすぐに経営承継。
一番の研修は自分でやってみること

紹介

栽培面積:30a(土耕)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:27歳

親元就農後すぐに独立

イチゴ生産を始めたのはいつですか?

農業を始める前はフィリピンに住んでいたのですが、27歳の時、妻の妊娠をきっかけに日本への帰国を決意しました。親がもともと農業をやっていて「いつかは農業をするだろう」と思っていたので、帰国後すぐに就農することにしました。

親がイチゴを生産していたこと、イチゴは収益性が高く、刃物を使わずに食べられるという理由から、生産品目をイチゴに決めました。

就農してすぐに経営継承されたのですね。不安はなかったですか?

どうせやるなら独立したい、という気持ちが強かったので不安はなかったですね。 雇われるよりも仕組みを作る側になりたいと常々思っていたので、私には農業で独立がぴったりでした。

栽培技術はどうやって身につけたのですか?

自分自身で手探りで学びました。本やYouTubeから学んで、失敗したらまた違うやり方を試す、ということを繰り返しています。父親もイチゴ栽培をしていましたが、一番の研修は自分でやってみることだと思います。もちろん、人に聞いて情報収集することもあって、いいと思ったことは積極的に取り入れています。

ハウスの建設には補助金などを活用されましたか?

そうですね、イチゴのハウスについては県の補助事業と紀の川市の事業と2つ使わせてもらいました。面積当たりの補助上限額は決まっていますが、県のほうが経費の1/3、市のほうが1/6補助してもらえるので助かりました。

農業は生活と密接にかかわる産業。地域との関わりも大事

農業を行う上で難しいことは何ですか?

農業は他の産業と比較して、地域と密接にかかわってくる仕事です。特に農業に使う「水」などは、みんなで分け合うものなので、地域の方との関係性を大切にしなければなりません。その部分を考えるのは難しいことだと思います。

林さんにとって農業の魅力はなんですか?

会社員時代は、どれだけ頑張っても自分に返ってくることはなかったのですが、農業経営の場合はやったらやった分だけ返ってくることを魅力に感じています。

どういう人に来てほしいですか?

本気で農業をやりたいと思っている、経営感覚がある人が来てくれると嬉しいですね。紀の川市のイチゴを生産する人が増えれば、ブランド力が上がるので。
本気で農業をやりたいと思っている人であれば、是非色々と一緒に挑戦しながら教えてあげたいですね。

実習先農家インタビュー2
イチゴ生産農家
児玉 瑞枝さん(50)

イチゴ生産は、子育てしながら続けられる。

紹介

栽培面積:6.5a(高設・土耕)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:40歳

父に助けられながら農業を始めた

農業を始めたのはいつですか?

12年前くらいから農業をはじめました。結婚後、子育てに専念していたのですが、子どもが少し大きくなったタイミングで、始めはパートとして、近隣のトマト農家さんのところで働いていました。
父が50年くらい農家をしていたので、その後、他の農家さんではなく実家を手伝うようになりました。

実家の手伝いからご自身でされるようになったきっかけは何ですか?

父から「設備あげるから別でやろう」と言われたことがきっかけです。お互いにサポートしあっていましたが、2年前に父が農家を辞めたので、自分が中心となってイチゴ生産するようになりました。今は父が師匠兼、お手伝いをしてくれています(笑)
農地も設備も全て父から受け継いだため、初期費用が掛からなかったのはすごく有難かったです。

栽培技術はどうやって身につけたのですか?

基本的に全て父から学びました。父は、新しいことを試すのが好きなので、自分が試してよかったこと、悪かったことを色々と教えてくれて助かりました。 今回の研修でも、私だけではなく父も一緒に研修生のサポートをする予定です。父は紀の川市のイチゴ農業を若い人に受け継いでほしいと思っているので、「生活できるようになるまで面倒みてやる!」と意気込んでいます(笑)

父に助けられながら農業を始めた

瑞枝さんにとって、イチゴ農家の最大の魅力は何ですか?

一番は、子育てしながら続けられることですね。子どもを3人育てながらでも続けることができました。もちろん、父のサポートも有ったので続けられた部分も大きいですが、イチゴ生産は夏の間はあまり忙しくないので、子どもの夏休みに合わせられるんですよね。外で働くとなると、なかなかできないことです。 また、単価が高いのも魅力です。1反あれば売上500万円くらいは目指せるので、夏休みがあるうえにしっかりと稼げるのはかなり魅力的だと思います。

では、イチゴ生産をやっていて難しいと感じることは何ですか?

苗づくりですね。苗さえきちんと作ることができれば後はあまり難しいことはありません。8月は気温が高くなるので、「苗がしおれませんように。」と毎日祈りながら水やりしています。苗づくりに関しては、毎年試行錯誤していますね。

販売に対しては、さほど難しいと感じることはないですか?

そうですね、私は全量JA出荷なので販売に対するハードルは高くないです。自身で営業をしなくてよいので、すごく助かっています。一部、電話で直接問い合わせてくれるお客様もいるので個別に販売もしていますが、販売先に困らないのは産地ならではの魅力だと思いますね。

農業をしながら生活していくには、紀の川市はオススメ

お休みの日は何をして過ごしていますか?

登山が好きなので、近くの山にハイキングに出かけることが多いです。特に、山に生えている花を見るのが好きで、季節ごとに「今日はこの花を見に行こう」といって登山をしたりします。サイクリングやパラグライダーをしている人もたくさん見かけます。アウトドアが好きな人にはおすすめの町ですね。

子育てするうえで、紀の川市はどのような街でしょうか?

生活もそうですが、子育てもしやすい街だと思います。スーパーやドラッグストア、病院もたくさんあるので生活で困ることはないです。大阪にも近いので週末遊びに行くこともできますし、紀の川市に住んでいて不便に思ったことは特にないですね。

紀の川市で就農検討している方に、ひとことお願いします!

農業するには本当にオススメです。水がきれいで美味しいので、美味しい作物ができますし、聞けばみんななんでも教えてくれます。特にイチゴは売り上げがたちやすいので、農業未経験者の方にもピッタリだと思いますよ。私はJA出荷ですが、直売所や市場に出されている農家さんいるので、自分に合った販売方法も探せると思います。
農業しながら生活したい、自然が好きだけど都会にも近いほうが良いという方は是非一度紀の川市に来てみてください。

実習先農家インタビュー3
(株)ふるーつふぁーむわかやま
田中 啓友さん(45)

自分自身の意志に従えば、自然と不安はなくなる。

紹介

栽培面積:30a(高設)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:30歳

きっかけは祖父。子どもの好きなイチゴを作ろうと思った。

農家になろうと思ったきっかけは何ですか?

ずっと農業をやっていた祖父に頼まれたことがきっかけですね。農業を始める前は営業や飲食関係などでサラリーマンをやっていたのですが、「自分の思うようにしたい」という想いも強かったので、農業で独立しようと思いました。就農と同時に独立という形になりましたが、自分で考えて動くことが好きなので、自然と不安はなかったです。

生産品目をイチゴに決めた理由は何ですか?

もともと祖父から受け継いで紀の川市の特産品の桃、梨やみかんを作ってたんです。桃は今も作ってるんですが、9年前に「自分の子どもが好きな果物を作りたいと思って、イチゴを作り始めました。」
やっぱり身近な人が美味しいと言われるのは嬉しいですし、子どもはみんなイチゴ好きなので「美味しい」と反応が返ってくることがモチベーションに繋がります。

イチゴ生産を始める時に補助金などは活用されましたか?

いえ、最初はハウスがあったので活用しませんでした。ただ、台風の影響で2019年にハウスを建て直した際には農協さんから1.3億円ほど借りました。私は祖父から受け継いだ農地や設備があったので活用しませんでしたが、新規で始める方は色々と補助金等を活用するのが良いと思います。

イチゴの栽培技術は周囲の農家さんに教わったのですか?

私は県の試験場の方やJAさんに基本的なことは教えてもらいました。その後は、本を読んで自分でいろいろ試してみたり、ネットやSNSを活用して気になる農家さんに連絡して訪問したりして、外部にも積極的に学びに行っています。

紀の川市は新しいことに挑戦する環境がある。

田中さんにとって紀の川市で農業をする魅力は何ですか?

意外と若い子同士の繋がりがあることと、新しいことに挑戦できることですかね。何か聞こうと思えば、すぐに聞ける環境があります。但し、お互いがお互いのことを気にかけすぎていないので、新しいことに挑戦しやすいです。
イチゴに関していえば、イチゴ部会に入っていて高単価のまりひめを生産できることも魅力ですね。販売も、私は市場出荷ですがJA出荷や直売所への販売など選べるのも魅力だと思います。

では、イチゴ生産をやっていて大変だと感じることは何ですか?

苗づくりとコロナですね。私は観光農園も経営しているので。 苗づくりはイチゴ生産をするうえで最も難しいことだと思います。去年も苗づくりに少し失敗してしまいましたが、他の農家さんと助け合って、なんとかやっています。
コロナに関しては、観光農園には大打撃でした。やはり感染対策をしながらとなると、受け入れられる人数も減ってしまいますし、そもそも来客数も減ってしまうので。何があるかわからないことを痛感しました。

なぜ観光農園をはじめられたのでしょうか?観光農園に関して、目標があればそれも教えてください

関西ウォーカーさんに声をかけていただいたのがきっかけとなりました。やってみるとお客さんもたくさん来てくれて、直接「美味しい」といわれるのが嬉しくて本格的に観光農園を始めることにしました。 目標は、2025年までに観光農園にカフェを併設したいと考えています。観光農園を待っている間に利用してもらったり、自身の生産物を知るきっかけになればいいなと思います。観光農園は最終的に会員制にできないかな、とも考えています。

自分自身が楽しみ、本気になることが一番大事。

田中さんの農業へのこだわりを教えてください。

自分が楽しみ、本気で取り組むこと。そうすれば、自然と美味しいものを作ろうと思えますし、おいしいものを作ればお客さんに喜んでもらえる。毎日しんどいのは当たり前ですが、その中でできるだけ楽しまないと損だと思っています。

研修生にはどのようなことを教えたいですか?

基本的に自分にできることは何でもやってあげたいと思っています。ハウスも一緒に探してあげたいし、独立して最初の数年は自分のイチゴと一緒に出荷してあげてもいい。ただ、厳しく言うこともあると思います。それは、本気で取り組んでほしいからです。本気でやる人って周りが助けてあげたくなりますよね。本気でイチゴ生産に取り組みたい方には、1から10までサポートしてあげたいです。

実習先農家インタビュー4
家族経営
岩鶴 和昭さん(42)

農業は簡単ではない。ただ頑張ればその分返ってくる。

紹介

栽培面積:20a(高設)10a(土耕)
出身地:和歌山市
就農時の年齢:20歳

美味しいものを作りたいから、色々試す。

農家になろうと思ったきっかけは何ですか?

結婚ですね。奥さんの実家が農家で高校を卒業してから働いていた仕事を辞めて、20歳の時から農業をはじめました。農業未経験だったので、はじめは「すべてが難しい」と感じました。ただ、コツコツと継続して一つのものを極めるのが好きなので、農業は自分に合っていました。

イチゴ生産を始めたきっかけは何ですか?

自分自身がイチゴが好きで、おいしいものを作りたいと思ったからです。奥さんの実家はお米やいちじくなどを作ってます。

イチゴの栽培技術はどのように身につけられたのですか?

義父は農家でしたが、イチゴの生産はしていなかったので近所のイチゴ農家さんに教えてもらいました。すべてが難しく、毎年1年生の気持ちでした。肥料を変えてみたり環境制御をしたり、常に色んなことを試しています。新しいことを試すのは怖いですが、試さないとより良い選択ができないので、良いことはどんどんやっていきたいと考えています。全部自分でしようと気張りすぎず、うまく人に頼ることで事業がうまくいくと信じています。

観光農園も始め、規模を拡大していきたい。

現在の反収と売上を教えてください。

現在、10a当たり6tくらい収穫できており、売り上げは600万円くらいですかね。紀の川市の平均収量よりは少し多くとれていると思いますが、イチゴの最大産地の栃木ではもっととれているので、まだまだ収量増を目指します。

岩鶴さんはどのように販売されているのですか?

最初から市場出荷です。JA出荷と違って自分で営業しないといけないので難しい部分はありますが、「紀の川市のいちご」としてではなく「岩鶴和昭のいちご」として販売したかったので、今後も自分で営業して販売していきます。近くのカフェに販売することもあります。
また、来年からは観光農園も始めようと思っています。やはり、お客さんからのダイレクトな反応を感じたいと思い、観光農園も始めることにしました。

では、今後も規模を拡大していく予定ですか?目標を教えてください。

そうですね、観光農園も大規模化していきたいと考えています。収入を上げることももちろんですが、より多くの方に自分がつくったイチゴを届けるために規模の拡大を考えています。売上1億円は目指したいですね。
最終的にはイチゴの価値を高めないと、収入は増えないので自社でのEC販売も始める予定です。

イチゴ生産は難しいが、安定している。

紀の川市は農業を始めるのに良い街だと思いますか?

はい、農業しやすい街だと思います。人気の直売所「めっけもん広場」も有りますし、農業が盛んな街なので困ることはあまりないと思います。私自身、農業未経験からの就農だったので難しいこともたくさんありましたが、周りのサポートもあってこれまで続けてこれました。
大阪も近いですし、生活していくのにも困りませんよ。市民祭りなどのイベントはありますが、都会の方が想像されているよなものではなく、町のイベントという感じです。

就農を検討している方に、アドバイスをお願いします!

一つのものを突き詰めるのが好きな人に、イチゴ生産は向いていると思います。頑張れば頑張った分だけ結果が出るし、イチゴ生産はやるべきことをやれば売り上げもきちんとあがる安定した品目だと思います。
自分に教えられることは教えようと思っているので、真面目な人・農業に真剣に取り組みたい人に来てほしいです。生産をできるだけ自動化できるように、色々とシステムを導入しているので、環境制御や自動化のシステムを学びたい人にはいいと思います。

実習先農家インタビュー5
JA紀の里
下田和 敬二さん(58)

JAの経験と知見を活かして全力でサポートしたい。

紹介

出身地:紀の川市

農業を志す方のサポートをしたい

JA紀の里では、新規就農を希望されている方には普段どういったサポートをされているのですか?

イチゴに拘わらず、新規就農を希望される方には経営計画や就農に関する想いをしっかりと確認したうえで、農地の貸し借りのサポートなどを行っています。また、どういった作物を作るのが良いかといった相談や、経営計画づくりや資金繰りのサポートも行っています。
そして、より専門的に農業を学んだうえで定着していただきたという想いから、品目特化の研修を受け入れるようになりました。

品目特化の研修では、どのようなサポートを得られるのでしょうか?

研修修了後に独立できるよう、事業計画、農地探しや横の繫がりづくりなど、全面的にサポートします。地域の特産品を作る担い手を育てていくために、トレーニングファームを設けて、実際にイチゴを生産するという研修を受けていただきます。
基本的には農場を管理しているJAの職員や営農指導員が指導します。研修中に地域の農家さんとの繋がりもできるので、独立後に助け合いができるような関係性を築くことができます。やはり、こういった関係性をいかにつくるかが、農業では大切だと考えています。
基本的に研修修了後は独立していただくので、事業計画づくりや農地探しなど、独立に向けたサポートも研修中にしっかり行います。もしも、農地が見つからなかった場合はJAのトレーニングファームで2年間働いていただくことも可能です。

紀の川市のイチゴ生産を盛り上げたい。

紀の川市のイチゴ農家の特徴を教えていただけますか?

和歌山県全体のうち、約4割がこの紀の川市で生産しています。農家軒数は約100軒くらいです。家族経営で小さくやられている方から、40~50aくらいで大規模にイチゴの生産をされている方までさまざまです。
昔はもっとイチゴ農家さんも多かったのですが、やはり高齢化とともに年々面積も農家戸数も減ってきているのが現状です。イチゴは収益性が高く消費者ニーズも高い品目なので、もう一度紀の川市で盛り上げていこうという想いから、研修に力を入れていきたいと思っています。

収量と売上はどのくらいを目指せばよいのでしょうか?

規模によって収量の差はありますし、気候の影響があるので年によっても差が出て今いますが、10a当たり3tを指標としています。最低3t/10aは必要だと思います。もちろん、もっと上を目指してほしいですし、実際に大規模に生産されている方は4~5tくらいとられていますね。
3t収穫できたとして、1500円/kgで販売すると450万円程度の売上になります。まずはこの最低ラインを目指してもらえればと思います。新規就農で独立される方でも十分目指していただける指標です。

紀の川市でイチゴを生産した際の販売先はどこがありますか?

まず、JAに出荷することをオススメします。JA出荷の良いところはJA出荷の農家さんと話す機会が多いところだと思います。出荷するときに顔を合わせるので、自然と会話が生まれて情報交換ができます。あとは、JAが運営している「めっけもん広場」もおすすめです。県内外から毎日たくさんのお客さんがいらっしゃいますね。
あとは、個人で市場や小売店と取引されている方もいます。大阪という消費地に近いのは、紀の川市の強みですね。

紀の川市は「便利な田舎」県外からの応募も大歓迎

紀の川市に住んでらっしゃる下和田さんから見て、紀の川市ってどんなところですか?

一言で言うと、「便利な田舎」ですね。田舎だけど都会も近いし、生活に必要なものは全て揃っています。中学生まで医療費が無料だったりするので、行政のサポートも県内でも手厚いと思います。

就農を検討している方に、ひとことお願いします!

農業は自然相手の仕事なので、いいことばかりではないです。毎年同じようにすればできるものでもないので、少し覚悟がいるかと思います。ただ、それを理解したうえでやはり農業をやりたいと思っていただければ、全力でサポートさせていただきます。

実習先農家インタビュー5
個人農家
児玉 勝彦さん(78)

JAの経験と知見を活かして全力でサポートしたい。

紹介

栽培面積:11a(土耕)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:18歳

農業を始めて60年。農業に定年はない。

農業を始めたのはいつですか?

18歳の時です。父も祖父も農業をしていて、親に勧められて進学した農業高校を卒業してからずっと農業をしています。
はじめは、親がつくっていた米やみかんなどを作っていたのですが、奥さんの妹がイチゴの生産をしていたのがきっかけで、25年前にイチゴの生産を始めることになりました。

イチゴ生産を始めて、どのように栽培技術を学びましたか?

周りのイチゴ農家に教えてもらいました。イチゴの栽培をしていた義妹に教えてもらったり、農協さんに見てもらったりしながら学びました。
農業は一人では出来ないな、とつくづく思います。何度も失敗しましたが、そのたびにみんなに助けてもらいました。協力し合ったからこそ、農業を続けてこれたんだと思います。

60年間農業を続けられた秘訣は何ですか?

自分自身、農業をするのが当たり前というか。そんな中で続けてこれたのは、楽しいからっていうのがありますね。お客さんから直接「おいしい」と言ってもらえたり、「お前のとこのイチゴ食べたらほかのん食べられへんわ。」と言われたりすると、嬉しくてもっと頑張ろうという気持ちにもなります。農業には定年退職の概念がないので、死ぬまで続けたいと思っています。

収穫する歓びがあるから頑張れる。

イチゴ生産の魅力はなにですか?

経営という側面からいくと、価格が安定していることですね。米とかみかんとか色々作ってきましたけども、やっぱりイチゴは価格が安定しているし収益性が高いですね。
あとは、たいていの人がイチゴ好きだから「おいしいね」と言われるとやっぱりうれしいです。しんどいことももちろんありますけど、収穫するときには「頑張ってよかった」「今年もええのんができた」と嬉しい気持ちになります。

イチゴ生産の難しいところはどこですか?

苗づくりです。苗づくりで何度も失敗しました。そのたびに周りの農家さんに助けてもらいました。
苗づくりに関しては、8月をどう乗り越えるのかが大事です。暑くて苗が弱ってしまって、病気になってしまうんです。

互いに支え合い、農業する環境がある。

紀の川市は農業するにはどんなところですか?

気候が良くて、農業はしやすいです。農業が盛んで、農業をする環境も整っていますし、助け合える仲間がたくさんいるのも心強いです。
農業は一人ではできません。私自身、何度も助けてもらいました。やはりそういった環境があるのは、新たに農業を始めようという方には良いところだと思います。

研修生にはどのようなことを教えたいですか?

若い子は宝だからね、自分が教えられることは教えて独立に向けて全面的に協力しますよ。親がイチゴ農家でも、子どもは受け継がないことが多くて年々イチゴ農家の数が減っていっているのは寂しいんです。
そんな中で、若い子が来てくれたら、栽培について教えるのはもちろん、知り合いの農家さん紹介したりハウス探したりなんでも協力したいですね。